日増しに暖かくなります今日この頃、私たち柳川商工会議所青年部（以下、柳川YEG）では去る２月１０日（水）に大牟田市内のホテルニューガイア オームタガーデンにて柳川YEGと大牟田YEGとの共同事業として若手後継者等育成事業を行いました。この事業は福岡県商工会議所青年部連合会主催で私達が青年経済人としての勉強の場として昨年より始まった事業です。今回は講師として株式会社森鐵工所の４代目で代表取締役の森春樹氏をお迎えして「グローバルニッチトップ（GNT）に必要な条件と経営革新の軌跡」と題した講演を行って頂きました。
この森鐵工所はタイヤ製造の際の型となるタイヤ成形ドラム、タイヤ成型機の設計・製造・販売を行っている中小企業で久留米商工会議所の会員です。そして題目にありました「グローバルニッチトップ（GNT）」とは特色ある技術や製品、事業モデルで世界的に高いシェアを持つことを意味しており、森鐵工所は企業規模が小さくても、優秀な技能と独創性を武器に製品を国内の全タイヤメーカー、海外４０か国の主要タイヤメーカーに供給している点で正にGNT企業なのです。
講師の森春樹氏はこの森鐵工所が現在のGNT企業としてグローバル化の中で発展するために幾つかの経営革新を断行されました。それは大きく分類すると「挨拶の励行」、「社員教育の徹底」、「匠の技継承」、「人事制度の改革」でした。これだけ見ると、私達どの企業にも当てはまる普遍的な指標のように思えます。しかしこの普遍的な指標こそ遂行することが難しいのかもしれません。森春樹氏はこの指標を地道に行うことから改革をはじめました。
この指標を具体的に説明しますと「気持ちの良い挨拶を自分からしよう」というスローガンの下、挨拶をはじめとして社内規律、社風を一新し、人材育成を徹底。また、どの作業どの工程もこなせるマルチプレーヤーを育成し、その習得スキルを５段階評価することで人材を確保。さらに、技術面においては先輩技術者が長年培った技の確実な継承。そして給与制度において、等級制を導入し賞与は利益を反映。
森鐵工所がグローバル展開するにあたってGNT戦略を進めることができた大きな要因はこのように人を育てること、人を評価することを確実に実行してきた背景が大きいのかもしれません。このことは事業形態・企業理念・企業規模に違いはあったとしても、私達柳川商工会議所会員のみならず、全ての企業に通じる普遍的なテーマなのでしょう。名将の言葉でも「人は城　人は石垣　人は堀　情けは味方　仇は敵なり」とありますように、技術に限らず信頼できる人材をもつ企業こそ、その時代の中で発展を遂げることが出来るのかもしれません。企業にとっての「人財」を育成することの重要さを改めて感じました。
さらに森春樹氏は今後の経営戦略として、IT技術を駆使した効率化・高速化・提案力の強化などを現在実践中とのことで、さらにはその先の挑戦も視野に入れているそうです。私も企業の目標をしっかりと掲げることで、社員と足並みを揃えて共に発展してゆけるように、まずは出来ることから始めたいと思います。
講演会のあと、森春樹氏も御同席頂いての懇親会では、柳川・大牟田YEGの実行委員会による趣向を凝らした“力いっぱい？”の企画イベントで県内の商工会議所青年部メンバーの交流をより深めることが出来たものと思います。催しの詳細はお近くの青年部メンバーにお尋ね頂ければと存じます。今回柳川YEGと大牟田YEGによる共同開催ということで、合同実行委員会を大牟田YEGメンバーと共同で進めてきた企画結束委員会の古賀丈二委員長を中心に良く準備をして頂きました。皆さん本当にお疲れ様でした！

総務委員会　大橋正明委員長