教えて事業所捜査隊!! 第4回 ご先祖さまのおかげさま、出逢えたあなたのおかげさま

第4回「ご先祖さまのおかげさま、出逢えたあなたのおかげさま」

今月の捜査対象:今村仏壇店(今村 相之 氏)

 

どうも、事業所捜査隊員の大橋です。窓の外では木の葉がちらちらと落ちる度に寒さが増してくる今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私の方は年末に向けて色んな現場の電気の仕上げ工事に追い立てられているところでございます。まぁ、毎年のことで12月引き渡しは多いので分かってはいるのですが、最終的にはやっぱりバタバタしてしまうんですよね。


さて、当企画では柳川YEG会員の事業所を立入捜査の上、その実態を明らかにする事を目的としております。なぜなら、私たちは同じ柳川YEGに所属しておりながら、お互いの生業をよく知らないのではないか。その疑念を払拭することこそ我々捜査隊の責務と信じて疑わないのであります。

DSCF0345では、当企画第4回目の捜査対象者は『今村仏壇店』の今村相之さんです。今村仏壇店は屋号の通り仏壇の製造販売から修復・クリーニング、仏具・神具・提灯などの販売を主な事業とされています。また明治5年の創業ということで、今年で143年の歴史を持つ老舗店で、相之さんはその5代目となります。現在の場所に新しく店を移されたのは今年の3月ですので、まだ出来立てほやほやのオール新築でございます。


DSC01739さっそく相之さんに店内を説明して頂きました。やはり一番に目が行くのはキンピカの仏壇とそのお値段ですね。よそのご家庭でもよく見るこの金仏壇は実は宗派によって仏壇の造りが違うそうで、基本的に金仏壇は浄土真宗で多く使われており、その中でも“お東(大谷派)”と“お西(本願寺派)”で金の使い方や屋根の造りに違いがあるそうです。その他に紫檀などを使ったシックな唐木仏壇や近年では小型のモダンな仏壇もありますが、柳川の場合は浄土真宗大谷派の方が多いのでキンピカの金仏壇の方が需要は多いようです。今村仏壇店ではこのような金仏壇の製造や修復を多く手掛けておられます。


DSC01742ところで、この仏壇の製造には多くの職人が携わっており、まず木地屋が木材で仏壇の箱体を作り、欄間や小物を彫刻師が彫り、内部の宮殿(くうでん)の屋根を専門で作っている職人、その他金具職人、蒔絵師など多くの部品を分業で作っておられます。今村仏壇店では製造の際これらの仕様を職人に発注し、出来上がってきた木地(きじ)の状態から下地作業後に漆を塗り、金箔を貼り(箔押し)、部品を組み上げて仏壇を仕上げます。ひとつの仏壇の木地からの下地漆塗り、箔押しで約1か月半もの時間がかかるとのことですので、木地の製造から考えれば完成まで数か月はかかるでしょう。正に伝統工芸品ですね。


DSC01746そのほか店内には仏具の商品も多く陳列されてありまして、中でも線香の棚には数十種の線香が並べてあります。線香は数百円のものから1万円!を超える高級線香まで様々な種類があります。各種説明を頂きながら香りを嗅がせて頂いた中で、なんとミルキーはママの味の線香や、サクマドロップの線香があるではないですか! 最近ではこのような変り種もあるようで、確かにミルキーの甘い匂い…、ドロップの甘い匂い…。この線香、ほんとに美味しそうな匂いなのでポリポリ食べれそうな気がしますが、食べれませんので小さいお子さんの手の届かないところへしまいましょう。

(ちなみに感動のあまり加藤昌弘氏、サクマドロップ線香お買い上げ

 → 相之氏「ありがとうございます!」m(_ _ )m 

DSC01748


DSC01762では、あまり店内にお邪魔すると他のお客さんにご迷惑なので、工房へ移動しまして仏壇の修復作業を拝見させて頂くことになりました。工房は少し離れた路地にありまして、中では相之さんの父幸男さんが金箔の箔押しの作業をなさっていました。お仕事中にも関わらずご親切に工房を見学をさせて頂きまして本当にありがとうございます。まずは漆塗りについてご説明頂きました。漆塗りと一言で言っても漆自体の種類が様々あり、早口・遅口など乾きの早い遅いで数種類あり、さらに黒や朱などの色や、ツヤ消しの違いもあります。早口・遅口などの使い分けはその季節や湿度によって選ぶそうで、試し塗りをしながら配合を決めるそうです。

「やはり梅雨時期は乾きにくいんでしょうね。」と聞いてみますと、

(今村さん)「梅雨時期はよく乾くから良いんだけど…」

DSC01769「そうですよね…、ん? あの、今村さん、梅雨時期は乾きにくいですよね。」

(今村さん)「いや、漆はね湿気がないとちゃんと乾かないんですよ。」

 (一同)「へぇーーー!。」

なんと漆は湿気が多すぎて乾きが早いと表面が縮んだり、シワがついてしまうそうです。逆に湿気が少ないと漆は全く乾かず、ある程度の湿度でじっくり乾かさないときれいに仕上がらないとか。そのために湿度・温度に合わせて早口・遅口など乾きの速さが違う漆を調合するのだそうです。最近ではもっと簡単にスプレーガンで安価な合成漆塗料を吹きかける方法もあるそうなのですが、今村仏壇店では伝統的な本漆のハケ塗りによってのみ作業をされています。


DSC01808そしてその次の工程は、本日のメインイベント!、金箔の箔押し作業です。箔押しは漆で美しく仕上げたパーツに金箔を貼っていく作業です。今回、今村仏壇店さんの御好意で箔押しの作業を体験させて頂きました。要領としては専用の竹のピンセットのようなもので金箔を一枚摘まんで、漆塗りをした所に上手に乗せて軽く押すという感じなんですが、これがなかなかムズかしい。金箔を手に取ることさえできない椛島豊弘氏、金箔を落としてしまう椛島豊弘氏、金箔をパーツにうまく乗せれない椛島豊弘氏...、それ1枚200円ですってよ。まぁ私も含めて皆も大体出来てませんでしたけどね。やはりちょっと見た位では出来ませんので、相之さんにお手本を実演して頂きました。金箔をサッと取って、サッと乗せて、ポンポンと綿で押すだけで全くシワのない艶々の黄金仕上げ。我々がくちゃくちゃに仕上げた部分と比較すると雲泥の差。なんか仕事の邪魔してすいません。でも貴重な体験をさせて頂いて本当に感謝です。こDSC01822の金箔の箔押しは漆塗りの仕上げがそのまま反映されるため、漆塗りの工程および下地の仕上具合が最も大事なのだそうです。アスファルト舗装の仕上がりも下地のクラッシャランの路盤次第という事と一緒ですね、加藤さん(舗装屋)

そしてこの後パーツを組み立てて仏壇の完成となるのですが、本当にひとつひとつ全て手作業による工程ですので、1台の仏壇を修復するのでも1カ月以上かかることもあるそうです。近年では仏壇の需要が減っているそうで、仏壇を新規購入されるお客様も大分減ったとのことです。しかし、ご家庭で昔から置かれている古い仏壇を、工房で見違えるように修復する技術を連綿と受け継がれていることについて、私は相之さんを誇りに思いますし、羨ましい気もします。同時に5代目の重責も伴うのでしょうけれど。


DSC01801その他、今村仏壇店では仏壇の修復以外にも神社仏閣関連の修復もされており、寺院の御本尊が安置してある内陣や門柱などの現場での修復は一般的な仏壇の修復より遥かに難しいようです。最近では去年、柳川市内の某寺院の一部修復や、市内の沖ノ端にある水天宮さんの御神輿の修復を手掛けられました。ちなみにこの御神輿は実に約80年ぶりの修復だったそうです。今回の修復で我々柳川市民の多くが拝見する水天宮祭りの御神輿は本来の美しい金色の輝きを取戻し、この文化財を数世代先の未来へと受け継いでいく為の事業に尽力されました。このご時世、数百年残る工芸品を手掛けられる仕事はそう多くはありません。その名誉を羨ましくも思いますが、世間では大型店により安価な材料で製作した安い仏壇が販売されています。そんな中、品質を落とさず、伝統を守り培われた技術をもって、一つ一つを手仕事で作り上げたこれら仏壇の店頭価格はこの技術に対して安いとさえ思われます。こうして多くの職人の伝統と技術が詰まった工芸品である仏壇は世代を越えて受け継がれ、修復を繰り返す度にその家の歴史を塗り重ねて、真の家宝となっていくのでしょう。相之さんにはこれからも伝統と技術の継承者として、様々な事を教わりたいと思いました。


DSCF0357最後に、新しい店内の入口にありました立看板から一言。

『ご先祖さまのおかげさま 出逢えたあなたのおかげさま』

この言葉は相之さん自身の言葉で、過去現在未来のご縁があって初めて今の自分があるのだと、感謝することの大事さを考えさせられます。また、この立看板のデザインは久留米で行われた日本YEG主催のビジネスマッチングでお会いされた佐世保YEGのOBである野田氏(主に蝋燭屋さん)に作って頂いたとのことで、YEGというご縁が結んだ素晴らしい逸品です。我々も柳川YEGに出逢えた事で多く人とご縁を結ぶことが出来ましたし、相之さんと出会えたおかげで伝統工芸の話や貴重な金箔の箔押し体験もできました。これぞまさに、

『ご先祖さまのおかげさま 出逢えたあなたのおかげさま YEGのおかげさま』

 

事業所情報:今村仏壇店

(店舗)

住所 福岡県柳川市茂庵町10-1

電話 0944-73-6998

(工房)

住所 福岡県柳川市城南町23

電話 0944-72-5058

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